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2005年6月 1日 (水)

歴史、教育、教科書問題

 歴史的真実を教えることが教育の責務か。ちがうネ。

 日中韓3カ国の歴史学者などが共同で近現代史の中学生用歴史教科書を作成したという。そこには、旧日本軍による中国内での虐殺者数などが記述されており、近く日本でも刊行されるという(以上、朝日新聞5月27日朝刊)。これらの背後には、歴史的真実(ここでは、そんなものが1つしかないものと仮定する)を教えることが教育の責務であるという考えがある。これは正しいであろうか。

 前回紹介したA.シュレージンガーJr.の著書によると、黒人(アフリカ系アメリカ人という表現もある)の子供たちの歴史教科書は歪曲しているという。そこには、古代エジプト文明は黒人文明であり、ピタゴラスの数学やアリストテレスの哲学は黒人学者から盗んだものであると記述されているという。彼の指摘する黒人学者の歴史教科書は、現在世界的に容認されている歴史的真実からは程遠いものである。

 では、なぜ黒人学者はそのような歴史教科書を作成したのであろうか。想像してみてください。われわれが習ってきた「世界史における黒人」はマイナスのイメージばかりで、プラスのイメージはほとんどありません。たとえば、リビングストンの暗黒大陸探検、奴隷貿易、アメリカ大陸での奴隷の生活、戦後のアフリカにおける内戦と飢餓などなど。

 現在のアメリカで、社会的にも経済的にも低い階級に属している黒人の子供たちに「われわれの歴史教科書」を使用する結果も想像してみてください。(この場合、国内の一部の人たちのいう「自虐史観」という言葉が適切なものとなります。) その時、子供たちは「どうせ俺たちはダメな人間」なのだと自分の将来に悲観するでしょう。分かりますか。教育の責務は歴史的真実を教えることではないのです。

 教育の最大の責務は、子供たちの将来の夢(大人になったら○○になりたい、○○をやりたい、○○のような人になりたいなど)を育むことです。その他に、パラダイム(社会的な規範や凡例などのようなもの)を教えることもあります。

 子供たちが、将来にマイナスのイメージしか持ち得ないことは教えなくともよいのです。教科書問題で欠落している最大の視点は「選択」です。もし、プラスのイメージを持つ歴史的真実が教科書に多く記載されているのであれは、マイナスのイメージを持つ歴史的真実も全部、あるいは一部が記載されることもあるでしょう。

 ここまできて、在日(朝鮮半島出身者の子孫やその他の人たち)の子供たちのことに気づきました。この子供たちは、日本の学校で、歴史教科書にどのような思いを抱いているのでしょうか。ついでにいうと、この子供たちはNHKの大河ドラマをどのような思いで見ているのでしょうか。『義経』に親近感を持っているのでしょうか。

 子供たちの将来の夢を育み、「在日の子供たちにも優しいまなざし」の歴史教科書が必要だと思いますが・・・・

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コメント

 日本人子弟に日本人としての誇りを植えつけない教育をしている国が、外国人子弟には、それを保障するのですか。迎合ここにきわまるご主張ですなぁ、

投稿: 罵愚 | 2005年6月 1日 (水) 15時12分

はじめまして。だったかな?
実は以前から、読ませていただき、
私のブログのお気に入りにも
勝手に登録させていただいておりました。

未来志向のすばらしい解決方法ですね。
あまりにポイントを絞られていて
わかりにくい人にはわからないでしょうが、
ほんと、おっしゃるとおりだと思います。

投稿: レッツら | 2005年11月19日 (土) 13時19分

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