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2005年6月18日 (土)

安保理の常任理事国と日本外交

 国連安保理の常任理事国になることによって何が得られ、何を失うのか。政府・外務省は、この点を国民に十分に説明していない。
 5,6年前ごろまでは、「日本は一貫して『国連重視』を外交方針の柱の1つ」にしていた(『外交青書』による)。この方針がいかにトンマなものであるかは国連の仕組みを考えると容易に理解できよう。すなわち、国連で討議する重要案件はまずもって安保理で討議され、そこで可決されたもののみが総会に議題として提出されるからである。安保理に議席がないわが国が、あるいは議席があっても拒否権を持たないわが国が、この国連の仕組みを理解しながら、「国連重視」を表明していたのである。さすがに最近の『外交青書』はこのようには謳っていない。代わりに「国際協調重視」といっている。
 外務省は、前記のトンマな方針を正当化するためか、近年では国連改革・安保理改革が必要であると表明し、それとの関連で常任理事国入りを目指している。
 安保理の常任理事国拡大案については、現在の常任理事国は概してネガティブな反応を示している。それはそうであろう。なんらの補償もなく、既得権が希薄化するからである。アメリカは新規の常任理事国の拒否権保持には反対、中国は日本の常任理事国入りには反対などである。
 国連憲章には、「旧敵国条項」が存在している。そんな国連に、莫大な財政負担をする必要があるであろうか。そして、安保理の常任理事国になる必要があるであろうか。『外交青書 平成16年版』では、「日本は、厳しい経済・財政事情にもかかわらず、加盟国中第2位の分担率19.468%(2004年)の財政負担を行っている」とさえ記載している。既存の安保理常任理事国の中国とロシアの分担率はそれぞれ2.053%、1.1%にしか過ぎない。安保理の常任理事国になることよりも、国連憲章から「旧敵国条項」を削除していただくことが先決問題であろう。政府・外務省は、このような状況下で、なぜ国連分担金を素直に支払い続けているのであろうか。なぜ、政府・外務省は過大な分担金をアメリカのように滞納したり、財政事情から一部は「支払いできません」と国連当局にいえないのであろうか。外交とは、駆け引きである。この駆け引きに、分担金を有効な手段として活用すべきであろう。そうすれば、財政事情の厳しい国連当局の方から何かしらの譲歩が得られるはずである。ただし旧敵国条項の削除は国益にかなうが、安保理常任理事国になることが国益にかなうかどうかは不明である。ついでに、中国に対して「国連分担金をもっと大きく負担してください」とイヤミのひとつもいうべきであろう。
 現在の日本外交の柱は「日米同盟重視」と「国際協調重視」の二本立てである。つまり二本外交である。しかし、これは見かけ上であって、2つの柱の間には優先順序がある。「日米同盟」が先にあって、これと矛盾しない限りでの「国際協調」である。だから、一本半外交である。もっと正確にいうならば米国追随主義である。残念ながらわが国は米国の走狗に過ぎない。
 わが国が安保理常任理事国になったら、国連分担金はさらに増えるのであろうか。常任理事国になったら、わが国の外交方針においては、上記の「国際協調」に替えて「国連重視」が復活するであろう。そうであっても、「日米同盟重視」が優先する限り、現在の外交に大きな変化は起きないであろう。国連常任理事国になることによって、何が得られ、日本外交にどのような変化がおきるのであろうか。たとえば「国連重視」が先で、「日米同盟」はその次になるのであろうか。この点を政府・外務省は国民に十分に説明しなければならない。さらに、旧敵国条項が存在している憲章下にある国連の安保理に、旧敵国当事者が常任理事国になるという異常を国民に説明すべきである。

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