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2005年11月25日 (金)

株式投資と暗愚性、それに経営陣の格付け

 株式投資を始めてから3年程度が経過した。その間、投資関係のさまざま雑誌・図書などを読むと同時に、自分でも株式の売買を繰り返してきた。その結果分かったことは、「短期間の株式投資で大もうけをするためには次のような資質が必要条件である」ということである。それは
    無知、短慮、非知性、非理性、非合理性、痴呆性、バカさ加減など
である。これらをまとめて、ここでは「暗愚性(あんぐせい)」と呼ぶ。(もちろん、例外もありますし、この暗愚性は短期間で大もうけをするための十分条件ではありません。また幾分長期間の投資でもうけるためには、暗愚性がない方がよいと思います。)
 ですから株式投資を実行している人で、短期間に大もうけできなかった場合は「自分は暗愚性に欠ける」という欠点?があると納得してください。
 有名な村上ファンドの村上氏が12チャンネルで、次のようなことをいっていた。「村上ファンドの運用資産は年間4000億円から5000億円で、それらの運用利益率20%から30%である。」氏のいう運用利益率は過大のようである。別の日に、同チャンネルで運用を委ねている投資家は同ファンドの運用利益率は年14%であると明言している。ファンドの手数料などを考慮すると、村上ファンドの年間運用利益率は15%程度となる。私は、この数値が実態に近いと思う。あれだけいやらしい投資を行っている村上氏、企業経営者からは蛇蝎のごとく嫌われている村上氏ですら、年間運用利益率が15%程度であるということを個人投資家は肝に銘じておくべきであろう。もちろん、このことから村上氏も「暗愚性に欠ける」と評価してもよい。
 私の3年間の株式投資の実績は次のようになります。年間運用利益率は20%前後で、しかも常に含み益(保有株式の時価評価額が購入金額を上回る額)が生じている状態を保持しています。私も「暗愚性に欠ける」のです。この3年間は日経平均がかなり上昇したことを考慮し、来年以降の年間運用利益率は15%前後を目標としています。
 以下に、村上氏を上回る投資実績をあげている私の株式投資の方針を記載しておきます(マル秘の公開ですので、読んだらすぐに忘れてください)。概ね3種類の方針で投資を行っています。失敗例も記しておきます。
[A投資] 
 これが主体です。2年から3年間保持するつもりで株式を購買します。年間配当利回り(配当金額÷手数料込みの株式購入金額)が1%以上で、かつ財務面の安全性などを重視して、銘柄を選択します。後者では、自己資本比率、長期借入金、それにPBR(株価÷1株当たりの純資産)を検討します。PER(株価÷1株当たりの税引き利益)や成長性は3番目にみます。特に成長性が見込まれる場合は、財務面の安全性を少し緩めることもあります。
 そして、株式を購入する場合は「株価が1年以内に○○円以上になったら売却する」という判断基準も設定します。購入後1年以内に、株価が上記に達せず、しかも購入価格を下回っていても、原則として販売はしません。(もちろん年末になって、税金面で損失確定した方がよいと思う時は売り・買いで損失を発生させます。) 
 購入後2年目以降も、「今年に株価が○○円以上になったら売却する」という判断基準を設定します。そして、1年目と同じ方針を貫きます。
 この方針の投資で、失敗したのは1銘柄だけです。石原産業の株式です。当社の酸化チタンと農薬の成長性にかけて、今年の春にいくらかの株式を購入しました。ところが、例のフェロシルト問題(有害な産業廃棄物を商品に混入して販売していた問題)です。比較的早い時点で、この情報をつかんでいたのですが、当社は四日市公害の元凶であり、この反省から不実な行為は行わないと半ば確信していましたので、株式は保持していました。しかし、その確信が揺らぎ、9月頃大半を販売し、7万円程度損失が発生しました。
 それでも酸化チタンの成長性を信じて、今でも当社の株式を保有しています。現在の株式の評価損は10万円を越えております。(どこかがTOBして、アホな経営陣をそっくり入れ替えてほしいのですが。) 年末には、損失確定処理をする予定です。
 そこでひとつの提案があります。会社の格付けというものがある。これは、会社の財務諸表から評価したものです。この格付けは、財務諸表が正確であれば部外者でもある程度判断できます。部外者からみて重要なものは、「経営陣の格付け」です。今回の教訓から、株式投資のためには、経営陣の格付け情報が不可欠であると思います。是非、格付け関連会社さん検討してみてください。
[B投資] 
 これはギャンブル投資です。A投資ばかりですと面白みにかけますので、100万円程度を限度にしてギャンブル的な投資を実行します。1年程度で、株価の上昇は2倍以上、株価の下落は20%程度の基準で銘柄を選択します。これは続けて失敗しています。
 昨年の夏ごろ、Cマイクロにクスを購買しました。この株式の利回りは銀行預金並みで、ヘの足しにもなりません。それにも係わらずに、当社は昨年末にかなりの額の公募増資を実行しました。発行価格は時価といっていましたが、増資発表時の水準よりも低い価格でした。その発表時点で評価損が発生しました。この株式は、20万円強の損失で処分しました。
 Cマイクロにクスの経営陣に一言。利回りが低い状況下で、時価の公募増資をするということは、株主を無視することである。このようなことを繰り返していたら、株主は永久に報われないことになる。あなた方、経営陣の格付けをすれば、当然「トリプル×」です。
 今年になって、某社の株式を100万円程度購買しました。上記の教訓から、利回り1%以上を条件として選択しました。この銘柄は、現在10万円程度の評価損が発生しています。しかし、利回りと成長性を考えて、当面保持するつもりです。
[C投資] 
 時たま、1年程度の短期間で売買するつもりで行う比較的小額の投資です。これは、基準はあってなきようなものです。ただし、購買する時には株式の上下の販売価格を大まかに決めます。
 昨年の暮れ頃から今年の初めにかけて住友金属の株式を購買しました。平均購買価格は135円弱です。当初の上の販売価格は220円でした。ところが、2005年3月決算の見込みが予想以上に良好になるとの会社発表を受けて、販売価格を270円に引き上げました。
 今年の9月には、住友金属の株価は270円を越えましたので、全部売却しました。結果論になりますが、これが大マチガイのようでした。その後、当社の株価は450円を超えました。
 もし私が暗愚性に十分恵まれていれば、投資金額の全額を住友金属株式の購買にあてていたでしょう。そうすれば、1年程度の間に投資金額を2倍から3倍以上に増やすことができました。そうなれば、自分の暗愚性を誇示するように『1年間で資産を3倍にする私の投資術』という本も発行できたのですが。
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 結論。株式投資では知性や合理性だけに頼るわけにはいきません。それでも知性や合理性を重んじるならば、株式投資は中期や長期で実行すべきだと思います。それに、上場会社の経営陣の格付けが必要です。

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2005年11月20日 (日)

流行予測とPOSデータ

 2005年秋冬物の流行予測は終了したであろう。そろそろ予測の判定結果も出てくるであろう。もしファション商品の秋冬物の流行を予測した人たちがいるとしたら、それらの人たちのほとんどが予測に失敗したであろう。それほど流行の予測は難しいのである。
 現在では、ほとんどすべてのスーパー、百貨店、ブティックなどの店頭にPOS (販売時点情報管理システム) 端末が設置されている。このPOSから得られるデータ(以下、POSデータ)を利用した場合に、どのくらい早く流行の予測ができるかを考えてみたい。
 結論から先にいうと、これらの情報が集まる結節点にいる人の資質が高ければいち早く流行を予測できることもあるが、通常は流行予測にはPOSデータは役に立たないといえよう。
 以前の当ブログ(8月12日)に記載したように、ファッション商品では何が流行の基軸になるか事前には分からないのである。そして、この基軸がPOSデータとして反映されていない場合、つまり入力要素となっていない場合がほとんどなのである。簡単な例をあげよう。
 今年の秋冬物の婦人服では「色が基軸で、青から紫に徐々に変わっていくグラデーションであって、それが背中側にある」服が流行したものとする。この流行情報はPOSデータにはどのように反映されているであろうか。多分、婦人服のPOSデータでは次のような情報しかとれない。
    ◎ 青や紫の服が売れている。
    ◎ グラデーションの服が売れている。
    ◎ ○○メーカーや××ブランドの服が売れている。
 来年には、このような流行情報も取り込めるようにデータ入力要素を変えたとしよう。ところが、来年の流行の基軸は変化しているはずである。それは形・スタイルであるかもしれない。例えば、全体のシルエットがA型やH型であるかもしれない。あるいは、流行の基軸は動物で、一昔前に紳士物ポロシャツの流行のようにペンギンやワニなどの動物がワンポイントでポケットについていることかもしれない。
 上記の例から分かるように、流行の基軸がさまざまに変化していく状況の中で、それらを忠実に把握するためにはPOSデータの入力要素は無限になってしまうのである。ところが現実のPOSデータの入力要素は比較的少数に限定されざるを得ないのである。このためPOSデータの集計から、流行の予測は不可能であるし、進行中の流行の把握でさえ不可能であるといえる。
 それでも例外がある。
 比較的大きな婦人服メーカーで、さまざまの店舗で販売している自社製品のPOSデータが集まるところ(情報の結節点)にいる人(Aさんと呼ぶ)を考えてみよう。このAさんが、これらの情報を常によくみていて、比較的良く売れている商品を頭に描いて、それらの共通点を探る習慣を持っているとする。この時、流行に自社製の服も絡んでいる場合は、Aさんは比較的早期に流行を把握できることになる。私は、これが現実の流行予測での最善時期・手段・方法だと思います。ここで大事なことは、「Aさんは品番をみて商品の全体像が頭に浮かぶ」ということである。
 このことから、さまざまな店舗のPOSデータの結節点にいる人(Bさんと呼ぶ)がさまざまなメーカーやブランドの品番をみて、それらの商品の全体像が頭に浮かぶのであれば、流行を比較的早期に、それもAさんよりも早期に把握できることになる。現実には、Bさんのような人は極めて例外的存在といえよう。このことから、先述の結論が得られる。
 私は、以前のブログで、首都圏の秋冬物の流行は「もみじ前線が東京より1ヶ月以上早く到来する札幌」の観察から可能であると記載した。また首都圏の春夏物の予測は、「桜前線が東京より1ヶ月程度先行し、かつ東京の飛び地的な地域・都市」を観察すればよいが、その地域・都市は不明であるとも記載した。
 流行の予測は、首都圏に限定すれば、後者の地域・都市さえ発見できればよいのである。多くの地域や都市を丹念に歩いて観察すれば、後者は発見できるかもしれない。(興味のある方に対するヒント:まず、かつて支店経済で栄えた都市から観察してみてください。)
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 流行と関連し、かつ流行と混同しがちな事象として「循環的な消費・購買」がある。皮革製品、それも革製ハンドバッグ、婦人靴、革製衣服などに典型的にみられ、これらは6年から8年の循環的変動を示す。つまり6年から8年ごとに販売のピークがある。
 この循環的な変動と流行が重なることがある。10年ほど前の皮革製衣服類の販売がそうであった。この時は、流行の基軸が「素材としての革」であり、革製衣服の循環のピークでもあった。この年には、皮革製のジャンパー、スカート、ベストなどが大いに売れた。
 私の予感では、このように循環的な変動と流行が重なることがまた起こりうると思う。その時は、多分、流行の基軸は「素材としての革、それもヌバック(バックスキンのように起毛した革)」となり、ヌバックの婦人靴(ブーツ、これは少し前に流行した)、ハンドバック、カバン、ベストなどが街に氾濫するのではないか。その時期は、もちろん私には分からない。

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2005年11月12日 (土)

消費者物価指数の本質

 消費者物価指数がさまざまな面で重要性を増してきている。例えば、①日本銀行の金融政策の参照指標として、②年金支払い額の考慮要因(物価上昇ならば年金増額、物価減少ならば年金減額)、③国内総生産(国内総消費)のデフレータ作成要素などである。このようにさまざまな用途に用いられている消費者物価指数に大きな問題がある。以下では、②との関連にしぼって考えてみたい。
 一言でいうならば、現在の消費者物価指数は金持ち追随型となっている。専門用語でいうならば、物価指数は民主的democraticではなくて金権的plutocraticであるという。簡単にこのことを説明しておく。
 ここでは2人の消費者(あるいは世帯)しかいないものとする。仮に、マルキン様をAとし、マルビ様をBとする。2人の月間の消費支出額はAが100万円、Bが1万円とする。
 ◎ ケース1
 「貧乏人は麦を食え」で、Bの月間の麦の支出額が5千円であり、Aのそれはゼロとする。この時、麦の小売価格のみが2倍となり、他の財の価格は変わらなかったと仮定する。マルキンAの生活は以前と変わらないであろうが、マルビBの生活は大変である。おそらく、生活破綻に近い状態となるであろう。
 この時の消費者物価指数の上昇はどうなっているであろうか。麦のウエイトは0.005弱(5千円÷(100万円+1万円))にすぎないから、物価指数は下記のように計算される(概算である)。
    2×0.005+1×0.995=1.005
 物価指数の上昇は約0.005、つまり0.5%にしかならない。
 ◎ ケース2
 極端な例としてAの牛肉の月間支出額が50万円であり、Bのそれはゼロとしてみよう。ここで、牛肉の小売価格のみが2倍となり、他の財の価格は変わらなかったとしよう。この時は、Aの生活はやや困窮するが、年金額が物価に連動していればそう大きな問題とはならない。
 この時の牛肉のウエイトは0.50弱(50万円÷(100万円+1万円))であるから、物価指数は下記のように計算される(概算である)。
    2×0.50+1×0.50=1.50
 物価指数の上昇は約0.50、つまり50%となる。
――――― ――――― ―――――
 AとBの支出額のすべてが年金額や生活保護費であって、これらが完全に消費者物価指数に連動しているものとする。
 ケース1ならば、これらの金額は0.5%程増額される。Bは50円程度増額される。この程度では、マルビBの生活は維持不能であろう。この時、Aも5千円程度増額されるが、麦は食べないので、以前と同じ生活ができ、かつ5千円の余剰が生ずることになる。
 ケース2ならば、これらの金額は50%程度増額される。マルキンA様の年金額は150万円となるから、以前と同量の牛肉を消費しても、50万円残る。つまり、Aは以前と同様の生活ができるのである。もちろん、Bの年金額も5千円程度増額されるので、以前よりも豊かな生活ができるようになる。
 上記の例から、消費者物価指数が金持ち追随型、あるいは民主的democraticではなくて金権的plutocraticであるということが分かるであろう。年金や生活保護費が消費者物価に連動していても、それは金持ち(正確には高額支出者)の生活水準を維持するように作用して、貧乏人(正確には少額支出者)の生活水準を維持することにはほとんど無関係であるといえよう。
 高齢者の年金や生活保護費に連動する場合の消費者物価指数の大きな問題点は以下の3つである。
 1つ目、これらの世帯では収入・支出格差がかなり大きいという点である。
 2つ目は、低所得・低支出の世帯・人たちほど医療費支出額が大きくなりがちであるという点である。
 3つ目は、消費者物価指数の財・サービスのウエイトは全世帯の消費が対象となるから、医療費のウエイトは、低所得・低支出の高齢世帯のそれよりも格段に小さいという点である。そして、医療費の価格上昇が今後も大きいという点である。
 上記のことを考慮すると、年金や生活保護費に連動する消費者物価指数はどのような性質を持つべきかが分かろう。低所得・低支出の高齢者も安心して生活がおくれるような消費者物価指数を作成し、それが年金や生活保護費に連動することが望まれる。

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2005年11月 1日 (火)

戦略としての必要多様度

 今、国内・国外ともに大きな環境変化にみまわれつつある。国内では、少子高齢化や財政赤字の拡大などの問題がある。国外では、資源(石油、石炭、鉄鉱石など)価格の暴騰、地球温暖化、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の台頭などがある。このような将来の環境変化を前にした時に、企業ばかりでなく、個人としてもそれへの対応策を持つことが必要である。ここでは、対応策を幾つ持つことが必要なのかという点を考えてみたい。
 環境変化の種類・数などを多様度とみなす。例えば特定の個人の将来環境の変化で重要なものとして、金利の上昇、消費税の引き上げ、所得の上昇率の低下などが考えられるとしたら、多様度は3である。特定の企業の将来環境の変化で重要なものとして、エネルギー価格の上昇、中国の競争力の増大、熟練技術者の退職増、国内需要の逓減などが考えられるとしたら、多様度は4である。このような将来起こりうる環境変化の多様度に対応するためには、あるいは打ち勝つためには、個人・企業としても自己のうちに多様度を持たなければならない。どの程度の数の多様度を持たなければないないかは「必要多様度の法則」から判断できる。
 簡単な例として、「後だしジャンケン」をとりあげる。相手が先にグー、パー、チョキのいずれかを出したのをみてから、自分の手を出すのである。もちろん、ジャンケンの勝負に勝つことが目標である。相手はいずれの手も出せるものとする、つまり多様度は3である。
 ここで、自分の出す手の数が限られているものとする。自分の多様度が1の場合は、グー、パー、チョキのいずれか、例えばグーしか出せない。この時、勝つことが目標であっても、勝負の結果は「勝ち」、「負け」、「引き分け」のいずれかとなる。つまり、結果の多様度は3となる。
 自分の多様度が2となる場合、例えばグーとパーを出せるとする。この勝負では,「負け」はなくなり、「勝ち」か「引き分け」となる。結果の多様度は2となる。
 自分の多様度が3となる場合はどうであろうか。相手の手を見て、グー、パー、チョキのいずれでも出せるのである。この勝負では、常に「勝ち」となる。結果の多様度は1となる。
 上記の例から分かるように、「後だしジャンケン」で常に勝ち続けるためには、自分の多様度を増加させておかなければならない。
 この多様度に関する重要な関係はW.R.アシュビーが「必要多様度の法則」として『サイバネティクス入門』篠崎他訳、宇野書店、1967年の中で述べている。(この原書は1956年に発行されているので、来年は50年目に当たる。なお、アシュビーの書としては『頭脳への設計』山田他訳、宇野書店、1967年が有名であり、両書ともに格段に面白いし、今でも輝きを失っていない。) 簡単に、この法則を述べておく。相手、あるいは環境の多様度をAとし、自分の持つ多様度をBとし、結果の多様度をCとする。この時、下記の不等式が成り立つ。(アシュビーの法則は、下記とは別の表現となっている。)
   法則・・・Cの多様度は「A÷B」より小さくはならない
この法則を上記のジャンケンの例で確かめてみてください。
 将来の環境変化のうちで、自己や当該企業に重要な影響を及ぼしそうなものはある程度の確かさらしさを持って予測できるであろう。つまり、将来の環境変化の多様度は事前に判明している場合が多いのである。(この場合、その環境変化が実際に起こりうる確率は無視してよい。あえていえば、ある数値以上、例えば20%以上であれば考慮することにすればよい。) つまり、上記の「後だしジャンケン」のような状況にあるのである。それゆえに、必要多様度の法則は重要なのである。
 もっと一般的にいうと、不確定で変化の多い未来を迎えるにあたっては、われわれは自己のうちに多くの多様度を準備しておかなければならないのである。アシュビーの言葉を引用すれば、「多様度だけが多様度を破壊できるのである」。
 株式市場におけるポートフォリオの考え方も、この法則と関係付けると面白いだろう。将来の株式環境の変化を多様度で把握すれば、自分が持たなければならない多様度はすぐに分かるであろう。その後どうするかという問題が、前記とは異なって、追加される。その後は「後だしジャンケン」でなく、同時に手を出す通常のジャンケンとなるが、相手の出す手の統計的割合は既知となっている場合である。(相手の出す手の割合が一定していない場合や知らない場合はポートフォリオが考えられない。) これについては、別の機会に述べようと思う。

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