頭脳とコンピュータ・ソフト
頭脳の続きです。将棋と囲碁を比べると、コンピュータは囲碁が格段に苦手のようである。この点について、前回ブログの直観型頭脳、論理型頭脳などとの関連も含めて、考えてみたい。
私は、幸いにしてか不幸にしてか、将棋も囲碁も1級程度の実力である。ちなみに、この実力は町の将棋・囲碁センターで恥をかかないで打てる程度のものである。アマチュアで強豪と呼ばれるためには、あと2つか3つ上でなければならない。この実力で、それぞれのコンピュータ・ソフトと対戦した私の結果は次のようになる。
将棋ソフトはかなり強い。当初はソフトの中程度のレベル設定でも私が負けていた。今では、私の方の学習効果が向上し最上級レベル設定でも私が勝てる。ただし、必勝のために守るべき事がある。1つ目は、大駒(飛車や角)を当初に交換しないことである。初めの方にこれを交換すると、私は勝つことがほとんどできない。2つ目は、序盤に優勢になったらそれを守りながらゆっくり相手を攻めることである。それでも、時々私は負ける。ソフトは桂馬の使い方などが私よりも格段に上手である。
囲碁ソフトはとんでもなく弱い。販売されている最強ソフトと自称しているもので、その最強レベル設定でも、私の相手にならない。今では、その最強ソフトの最強レベル設定で、しかもソフトに20石も置かせても私が楽勝できる。現在の実力でも、私はプロ最強棋士に20石も置かなくても勝てる。
私のレベルからみると、将棋ソフトは学ぶべきことが多い。それに対して、囲碁ソフトは学ぶべきことはほとんどない。囲碁ソフトには、アホな手が多すぎるという実感を持っている。ただし、囲碁ソフトは終盤になり石が盤面に一杯になると、それなりに良い手を打つようになる。終盤は、時々私よりもうまい。しかし、その段階では勝負は既に決しているのである。
囲碁ソフトは序盤の石がパラパラしている時に良い手をみつけられないが、終盤の石が多い時に良い手をみつけられるという特徴を持っている。このことがコンピュータの弱点を示唆しているようである。つまり、コンピュータは局面が広い状態では人間の頭脳のような働きができないが、局面が狭い時には人間の頭脳並み、あるいはそれ以上の働きができるようである。
上記のことを、直観型と論理型に分けて考えるとよりよく説明できる。ここでは、直観型は幾何学的な発想・処理などをさし、論理型は解析学的な発想・処理などをさす(前回のブログも参照)。
囲碁における序盤は、何手か先の石の姿・配置を想定できるかどうかが重要である。私のように論理型頭脳では、これが苦手である。私は、何手か先の図形、つまり石の姿・配置が頭に浮かばない。直観型頭脳であれば、何手か先、あるいはもっと先の石の姿・配置が頭に浮かぶであろう。囲碁の高段者になると、100手以上先の石の姿・配置が瞬時に頭に浮かぶようである。囲碁のソフトの序盤が極端に弱いということは、コンピュータが幾何学的な発想・処理などに不得手であるということを表しているものと思う。
囲碁の終盤は、論理で説明できる手が多い。囲碁ソフトの終盤が強いということは、コンピュータが論理的な処理に強いことの表われであろう。
囲碁は、序盤から中盤にかけて直観型発想を要求され、中盤から終盤にかけて論理型発想を要求される競技のようである。それでは、直観型頭脳と論理型頭脳のどちらが強いであろうか。私は、直観型の方が強いと思う。その理由は、囲碁の勝負は「序盤から中盤にかけての布石」が「中盤から終盤にかけての布石」よりも大事だと思うからである。
将棋は、序盤から終盤まで、一貫して論理型のようである。駒組みも論理で説明できそうである。囲碁と違って、将棋のプロの高段者が瞬時に読める手数は10手先程度までのようである。もし将棋が直観型発想で行われるのであれば、プロの高段者はもっと先の手数が読めるはずである。将棋では、直観型発想は読みの裏づけがあってはじめて役立つ。読みの裏づけは論理の役割である。
一般に、女性は直観型で論理が苦手であるといわれている。近頃辞任に追い込まれたハーバート大学学長は『女性は生まれつき科学や数学に向かない』と発言している。(この発言は、女性は論理型頭脳でないといっているものと思う。科学や数学の世界でも、直観型頭脳の人が活躍していることについては前回のブログを参照してください。) この点は、将棋と囲碁の女流プロを考えると納得できるところもある。将棋の女流プロは「女流○○段」であって、男性とは対等の段位ではない。一方、囲碁の女流プロは単に「○○段」であって男性とは対等の段位であるし、プロになるための試験も男性との区別はない。つまり将棋と囲碁を比べた場合、女性では囲碁の方がはるかに強い。
将棋と囲碁のソフトの比較から、コンピュータは直観型処理が苦手で、論理型処理が得意であるということが分かる。数学ソフトからも、この点は確認できる。例えばマスマティカMathematicaでは、グラフなどは上手に描けても、幾何学の問題を解くことは下手のようである。もちろんマスマティカも論理型処理は上手である。
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コメント
初めて訪問します。
なかなか難しい分析ですね。「直感型頭脳と論理型頭脳」ですか。読んでいて分かったような分からないような・・・。
私は、コンピュータソフトそのものはディジタル的な解析しか出来ないと思っております。ですから場面場面においての解析が直ぐに出来ます。つまり棋譜の途中からでも解析してくれます。
ところが、プロ棋士達は1局の「流れ」を重視致します。その局面に辿り着く過程のことです。ある意味、アナログ的とも捉えることが出来るかもしれませんが。
今のところ、コンピュータはこの「流れ」について十分に解析できていません。まだまだ人間の知能の柔軟さにはついていけないようです。
コンピュータが人間の頭脳のような解析が出来るようになれば、将来凄いロボットが登場するかもしれませんね。
投稿: K.O | 2006年2月25日 (土) 22時24分