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2006年4月21日 (金)

メガバンク、その誇りとリスク仲介機能

 わが国で金融ビッグバンが始まった時に、銀行の主たる機能は金融仲介からリスク仲介に変わるといわれた。その後の推移を見ると、わが国の銀行はリスク仲介機能を十分果たしてきたとはいえない。以下、大手銀行への不満と期待を述べる。
 現在の銀行は、大手も中小も、リスクを積極的にとるという意欲が欠けている。例えば、銀行は一般国民に投資信託や外貨預金を勧めて、彼らのその仲介手数料を取ることに甘んじている。投資信託や外貨預金が持つリスクは、自分では負わずに、そのまま一般国民に負担させている。
 リスクは規模が大きくなる程、その制御が容易になるという性質を持つ。生命保険や火災保険の存在を想起されたい。例えば、個々の家が火災にあう確率は不明であるが、1万戸の家、あるいは100万戸の家を対象とした時に、何戸の家が火災にあうかはかなりの確からしさで知ることができる。後者の確率が分かれば、火災というリスクへの対応方法も容易に築くことができる。
 このリスクの性質を考えると大手銀行が果たさなければならない役割が見えてくるであろう。個々の国民に投資信託や外貨預金のリスクを分担させる代わりに、自分たちでリスクを負担することを考えるべきである。自分たちがリスクを負って、国民にリスクを負わせないということもリスク仲介機能である。もちろん自分たちが高リスクを負って、国民に小リスクを負担させるという選択もリスク仲介機能である。
 具体例を述べよう。大手銀行は、「1年もので年利3%以上の定期預金」を国民に提示できるはずである。この提示により、当該銀行には大量の預金が集まるであろう。この預金をBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と呼ばれている成長期にある諸国の投資(株式投資、債権投資や貸し出しなど)に当てるのである。リスクもあるが、これらの投資によって年率で6%以上のリターンを得ることは可能であろう。個々の国民がこれらの投資を行えば「高リスク、高リターン」となる。しかし大手銀行では、そのリスク制御が十分ならば、これらは「中リスク、高リターン」あるいは「低リスク、高リターン」になりえる。
 これまでの低金利下で、銀行は国民の富を大量に略奪したはずである。これからは国民に、その富を返還すべきである。そのためには何をなすべきかを考えてほしい。特に大手銀行に考えてほしい。大手銀行には、メガバンクとしての誇りがあるはずである。それが、投資信託や外貨預金の手数料稼ぎで満足していいのであろうか。これらのチンケな商売は中小の銀行や郵便局に任せるべきである。今こそ、リスク仲介機能を果たすべきである。そしてメガバンクであるがゆえに、中小の銀行や郵便局にできない国際的活動を展開すべきである。
 大手銀行が積極的にリスクを担い、国際的な投資を実行するならば、前述したように国民に「1年もので年利3%以上の定期預金」を提示できるはずである。私は、大手銀行首脳陣の大いなる意識改革を切望する。メガバンクとしての誇りは、中小の銀行にできないようなリスク負担や国際的展開の中でこそ表出してほしい。

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