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2006年8月 4日 (金)

プール事故と設計ミス

 埼玉県ふじみ野市の市営プールで女子児童が吸水口に吸い込まれて死亡するという痛ましい事故が発生した。この事故の原因として、マスコミなどはプールの管理運営に問題があったと指摘している。例えば「ボルトやネジで固定する金網が針金で留められていた」、「監視員がアルバイトであった」、「監視員に吸い込み口の危険性が知らされていなかった」などが原因であると指摘している。
 しかし、真の原因はプールの設計ミスにある。責任を第一に負わなければならないのはプールの設計者、あるいはプールの製造業者である。プールの管理会社や管理者の責任はその次である。
 問題のプールは「水流が常時流れているプール」である。その吸水口では、強い力で水を吸い込んでいる。しかも、そのプールの主な利用者は児童や幼児なのである。このような状況下では、プールはfail-safe(間違っても安全な、絶対安全な)で設計しなければならないのである。
 吸水口の金網やそのボルトなどは、腐食したり、破れたりするということを前提としなければならない。プールの水には、消毒のため塩素などが投入されているし、入水者からの排出物(汗やオシッコなど)も含まれているのである。しかも、強い力が常時かかっているのである。このような水中にある金網やそのボルトなどが絶対に故障・破損しないと想定すること自体が誤り、設計ミスなのである。故障・破損するという前提に立って、なおかつ安全性を追求しなければならないのである。つまりfail-safeの考えである。この場合、内側にもうひとつ金網を設定するだけで事故を防げたはずである。
 どうして、こんな単純なことに設計者は気が付かないのであろうか。わが国の設計者から、信頼性工学的発想が失われているのであろうか。月面到達へのアポロ計画時代を想起されたい。この時代には、ナイン・ナイン、イレブン・ナインという言葉が盛んに使われていた。これは信頼度(失敗しない確率)が99.9999・・・%と、9が9個、あるいは11個続くことを表わしている。
 上記の流れるプールの信頼度はせいぜい99%程度であろう。これでは、安全面からは不適なのである。構造が単純で、しかも子供の利用が多いプールの信頼度はイレブン・ナイン以上でなければならない。信頼度を99%程度からイレブン・ナインへ向上させるために付加的に必要となるコストは、この場合はそんなに高くはならないはずである。

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