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2007年3月 3日 (土)

裁判員制度に反対

 最高裁判所・政府の進める裁判員制度(2年後の平成21年5月までに始まる)に反対する。これは「国民から選ばれた裁判員が刑事事件に参加し、裁判官とともに被告人が有罪か否か、どのような刑にするかを判断する制度」である。何で、国民に多大の負担がかかるこのような制度を導入するのか私にはよく分からない。裁判の場では、もっと先に解決しなければならない課題があるのではないであろうか。
 考えられる理由はアメリカの陪審員制度に倣うということである。(陪審員の場合は「被告人が有罪か否か」の判断までで、どのような刑にするかまでは判断しない。) 陪審員制度は「多民族国家」や「多宗教信者からなる国家」には有用な制度だと思われる。
 陪審員制度が導入されたアメリカ建国の頃の状況を考えてみたい。以下には、私の推察も含まれています。
 その頃のアメリカでは、様々なセクト(キリスト教の様々な宗派)毎にコミュニティが形成されていた。各コミュニティは基本的にはそのセクトの掟などによって治められていた。そしてヨーロッパ大陸での宗教戦争・宗教裁判などへの反省から、他のコミュニティには干渉しないという習慣が形成されていった。やがて幾つかのコミュニティがまとめられて1つのカウンティ(日本の郡に近い)となり、そのカウンティに1つの巡回裁判所が設置されるようになった。ここで思考実験をする。例えば5つのコミュニティからなるカウンティを想定する。この時、すべてのコミュニティのセクトが異なっているものとする。判事・裁判官はどこかのコミュニティに所属するものとする。分かりやすく、次のようなケースを考える。イスラム教の信者のみからなるコミュニティである事件が起きたとする(もっと限定すると、その事件の利害関係者はイスラム教徒のみからなる)。判事・裁判官はキリスト教徒とする。この例では、被告人が有罪か否かの判断はイスラム教徒に委ねる、つまり、そのコミュニティから選ばれた陪審員に委ねることこそが最良の選択であろう。ここでは、イスラム教徒とキリスト教徒の間では価値観や倫理観、あるいは習慣などが異なっているということが暗黙裡に想定されているのである。そこで有罪と決められたら、それがどの刑に該当するかは法技術的な問題であるから、基本的には宗教・宗派・習慣などに関係がなくなる。このため、キリスト教の判事・裁判官が決定してもなんら差し支えがないであろう。
 現在のアメリカでも特定の人種や宗教・宗派などからなるコミュニティが多々ある。もし、そこで発生した事件で、かつ利害関係者のすべてがそのコミュニティ居住者に限定される場合は「そのコミュニティから選ばれた」陪審員が裁判に参加し、有罪か否かを判定する制度は望ましいものといえよう。
 わが国の現状はほとんどが同質的な国民によって構成されている。それゆえに、現状では上記のような陪審員制度は不要であるし、ましてや裁判員制度などは論外である。ブラジルからの日系2世や3世の多数から構成される市町村が現れるならば別であるが。
 わが国で必要な制度は、民事と刑事ともに、裁判における参考人制度である(既に制度として存在するのであれば、それを積極的に活用することである)。半導体の特許をめぐる裁判で、企業に200億円の支払いを命じたバカな裁判官がいる。最高裁判所に求められているのはこのようなバカな判決への反省なのである。情報・知識が格段に進化・発達している現状では、裁判官にオールマイティを期待できない。だから、公開の法廷に参考人に参加してもらい、様々の意見を述べてもらうのである。もちろん、参考人は裁判の内容に詳しい人である。しかし参考人であるから、彼・彼女は有罪か無罪かについては意見を表明しない。その意見を参考にして、裁判官が判決を下すのである。
 マルクス『資本論』の脚注に「陪審員(ただし翻訳)」という言葉がでてくる。この陪審員は、急速に発達した当時の大規模工場内の現場に精通していない裁判官などの知識不足を補うために法廷で証言した参考人のようである。(マルクスは、この陪審員が工場主であったことから、彼の証言を批判している。)
 不思議なことに、わが国の裁判官は『私には判断できません』や『私にはその方面の知識がありません』などという正直な人はいないようである。皆がオールマイティのような仮面をかぶっているようである。これこそが問題なのである。最高裁判所の判事さん、分かりますか。あなただってオールマイティではないでしょう。
 裁判員制度の導入によって、最高裁判所などの司法機関にも様々な利権が発生しているようである。「法の番人」が利権に目覚めたのである。この面からも、裁判員制度に反対である。

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