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2008年5月18日 (日)

翻訳というおかしな言葉

 翻訳という言葉はおかしなものである。辞書によると、「翻」の意味は「ひるがえる」、「ひるがえす」、「ある国の言葉を他の国の言葉になおす」などとある。同様に、「訳」の意味は「わけをとく」、「外国の文や古文などを普通の言葉に直す」などとある。
 具体的な例でいうと、「日本語文を英語文に変換」する場合も、その逆に「英語文を日本語文に変換」する場合もともに「翻訳」という。前者の例でいうと、日本人からみると自国の言葉が他国の言葉に変換されている(輸出に相当する)が、英国人からみると他国の言葉が自国の言葉に変換されている(輸入に相当する)。後者は、この逆である。だから「翻訳」は「輸出入」に相当する言葉であるといってもよい。あるいは「売買」に相当する言葉といってもよい。
 その持つ意味からいうと、「翻」は上記の両方の変換を表してもよい。他方、「訳」は両方の変換に適用できるかどうか疑問である。しかし現実には、「訳」という言葉は上記の両方の変換の意味でも用いられているのである。具体的な例をあげる。「英訳」は「どこかの言語を英語に変換すること」であるから、日本語から英語への変換も含む。「邦訳」や「和訳」は「どこかの言語を日本語に変換すること」であるから、英語から日本語への変換も含む。それゆえに、「翻」も「訳」も同じ意味を持つといえる。だから「翻訳」は二重定義となっている。
 そこで私の提案である。「翻」と「訳」に別の意味を持たすのである。日本人が国内で生活しているということを重視すると、国語(日本語)を中心にしてみる言葉・熟語を作ることが望ましいので、「翻日(ほんにち)」と「日訳(にちやく)」という新しい言葉・熟語を作るのである。「翻日」とは「外国語を国語(日本語)に変換すること、外翻日の略」をさす。そして、外国語を特定する時には次のように使う。
  ◎英語を国語(日本語)に変換する・・英翻 (えいほん)、あるいは英翻日(えいほんにち)
  ◎独語を国語(日本語)に変換する・・独翻 (どくほん)、あるいは独翻日(どくほんにち)
ここから「翻」の意味が定められる。
 もう一方の「日訳」とは「国語(日本語)を外国語に変換すること、日訳外の略」をさす。外国語を特定する場合は次のように使う。
  ◎国語(日本語)を英語に変換する・・訳英 (やくえい)、あるいは日訳英 (にちやくえい)
  ◎国語(日本語)を独語に変換する・・訳独 (やくどく)、あるいは日訳独 (にちやくどく)
ここから「訳」の意味が定められる。そして、現在使われている「英訳」、「邦訳」、「和訳」という言葉は用いないことにする。
 上記の「翻日」と「日訳」の両者をさす場合にのみ「翻訳」という言葉を用いる。これは「売り」と「買い」の両者をさす「売買」に対応するものである。
 なおグローバル時代であるから、多数の外国人が日本国内に住む。この人たちが自国語への変換に使う場合は「翻」と「訳」は同じように使われる。例えば「英語を中国語に変換する」場合は「英翻中」や「英訳中」であり、逆に「中国語を英語に変換する」場合は「中翻英」や「中訳英」である。
 同じ意味を持つ「英翻中」と「英訳中」という2つの言葉が生まれるというような欠点は国語(日本語)を中心に言語・熟語を作る時にはしばしば生ずることであろう。前記の例で国語を介在させた場合は次のようになる。「英語を日本語に変換し、その日本語を中国語に変換する」場合は「英翻日・日訳中」となり、中間に介在する日本語を省略すると「英翻訳中」や「英翻中」や「英訳中」となる。上記の欠点を回避したければ「英翻訳中」のみを用いることにすればよい。

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