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2008年6月 1日 (日)

四川大地震と日本経済

 悲しいことに資本主義経済では、戦争や大災害が経済活力を生み出すのである。他人の不幸を喜ぶようでいいにくい事であるが、中国・四川大地震の復興計画・実行のもたらす日本経済への影響を考えてみたい(中国は社会主義国ではあるか、資本主義的な世界貿易システムに組み込まれている)。
 今度の四川大地震の復興計画は中央政府によって早期に作成され、早め早めに実行されるであろう。その実行で、大きな輸入需要が発生するであろう。その理由の1つは、今度の地震が都市と農村の格差、漢族と少数民族の格差を明らかにしたことである。2つ目の理由は、学校建設のオカラ工事でみられるように多くの面で地方政府・幹部の不正が疑われていることである。3つ目の理由は夏の北京五輪を控えていることである。中央政府は北京五輪の成功のためには前記の格差や不正を無視することはできないと自覚しているはずである。4つ目の理由は膨大な貿易黒字の存在である。
 これらの理由のため、かなり大規模な復興計画が作成されるであろう。そして、早め早めの計画の実行となろう。この実行に必要な資材などの納期は中国企業だけに依存していては6ヶ月先や9ヶ月先というものが多数表われるはずである。また、中国国内ではすぐにまかなえないものもあるであろう。だから、早期の実行のためには海外、つまり輸入に頼らざるを得ないのである。もちろん、潤沢な外貨の保有という裏づけもある。
 この復興需要で最も大きな恩恵を受けるのは日本企業であろう。この恩恵は日本企業の現地での生産・販売の拡大と中国への輸出という面の他に、中国企業の輸出圧力の低減という面もある。上下水道、電力、鉄鋼、建機などに関連する日本企業では、この復興需要によってもたらされる恩恵がかなり大きいだろう。
 幾人かの識者はこの地震が中国経済の停滞をまねき、それが日本経済にマイナスの影響を及ぼすと述べている。この見方には賛成しかねる。この見方は資本主義経済のダイナミズムを無視しているから生まれるのであろう。戦後の朝鮮戦争に伴う「特需」が日本経済に与えた影響や、ベトナム戦争が日本の高度成長期と重なることを想起されたい。
 最後に、日本国民として一言。この復興需要によってわが国企業が大きな恩恵をこうむったならば、それらの企業はその恩恵のいくらかを中国国民に還元することを忘れてはならない。震災見舞いという事前の貢献も必要ではあるが、事後の貢献も必要である。

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