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2008年11月30日 (日)

神谷秀樹『強欲資本主義、ウォール街の自爆』を読む

 神谷秀樹『強欲資本主義、ウォール街の自爆』文春新書2008年10月を読んだ。久しぶりにすっきりした読後感を味わえる本に出合えた。以下、私が共感するところなどを自説とともに、内容紹介する。頁数などは省略する。神谷記述は『』で示すが、若干私が手を加えてあるところもある。
 『ウォール街の連中は違法と合法の境目で、ルールを守っていれば何をしてもいいと思っている。』彼らとともに彼らに準ずる日本の連中が「法を犯していなければ」何をしてもいいと思って行動していると私は想像している。しかし、これがおかしい。金融の世界では、「法が想定していないような状況や商品など」を彼らが作り出しているのである。その中で「法を犯していなければ」という条件は通用しないはずである。ホリエモンの修正条項付き転換社債で大儲けをしたリーマンを想起してほしい。最近のアーバンにからむBNPパリバも同類である。同書で具体的な例が記述されているが、ビジネス上の倫理観の欠如といえる。
 これらの記述を読んでいて、M.ウェーバーの「Paria-Kapitalismus賎民資本主義」という言葉を思い出す(ウェーバーは、社会的なモラルを超えて営利を追及する人たちに対して、・・・、賎民という用語を用いている)。すなわち、金を儲けるためなら何をしてもよい、法を犯してさえよいという考え方が浸透している社会をさす言葉、あるいはそのような行為をする人(賎民)が突出している社会をさす言葉として用いている。(これについては、当ブログ06年5月4日記事も参照。) 
 ファンドなどが企業を買収する場合は、常にコスト・カットと従業員の解雇が付きまとう。これは、ファンドが将来のキャシュフローからみて確実な手段を選択するからであるという。『事業を改革する、新製品を開発するというグロース・ファクター(不確実な成長性)を無視するからである。確実に自分たちでできるコスト・カットを見ている。』 そういえば、どこかの自動車会社のCEOもコスト・カッターと呼ばれていた。私は、この自動車会社の将来を不安視している。
 『ウォール街の大物が政府高官になる理由のひとつに「タックス・ホリデー」がある。これは、利益相反関係を防ぐため、政府高官就任に当たって持ち株を売却した際に、その利益に課税されないという特典である。』 大物たちは、ストックオプションで大量の株式を保持している場合が多い。だから、安い月給でヒマもない政府高官に就任するのである。
 今回の金融危機、百年に一度の危機を招いた犯人として、アメリカ政府の他に日本政府があげられている。日本政府の罪も相当なものであるという。日本の『ゼロ金利、過剰なまでの円安維持、低金利政策』など非難されてしかるべきものである。私も、日銀によるゼロ金利、それに続く超低金利政策は指弾されるべきだと思う。前日銀総裁の罪は相当なものだと思う。今米国で、FRB前総裁のグリーンスパンが非難されているように。
 とにかく、本書は多くの人に読んでもらいたいと思う。特に金融政策に当たる人たちに。

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