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2010年1月27日 (水)

年金記録確認第三者委員会の業務・結論は誰が評価するのか

 私は国民年金の記録漏れについて第三者委員会(以下、委員会)へ申し立てをし、このほどその結論が送付されてきた。その通知書には、「これまでにお伺いした申し立ての内容、収集した資料・情報を基に総合的に判断いたしましたが、・・・年金記録の訂正が必要とまでは言えないとの結論に至りました」とある。この通知書の内容や判断方法は適正とはいえない。学校の成績評価で言えば不可である。以下、私の評価を述べておきたい。(私は、今回の経験から、委員会の構成、業務の進め方などを評価する必要があると思う。そして、委員会をもっとよりよい方向にもつていくことが必要であると思う。)
 まず委員会の基本的スタンスのあり方である。年金記録については、社会保険庁があまりにも多くの誤りを犯したということを考えれば、「申立人に不利と思われる事項はなるべく小さめに秤量する」、その一方で「申立人に有利と思われる事項はなるべく大きめに秤量する」という姿勢でなければならないであろう。この点が委員会では欠けている。通知書には申立人から見て不利と思われる事項のみ記載されており、有利と思われる事項は一切記載されていない。あるいは、委員会へ提出されている時点で有利と思われる事項は削除されているのかもしれない。上記の総合的判断とは、不利な点とともに有利な点も含めて判断したということではないのか。
 私に有利と思われる事項は私の記憶で、それらは間接的ではあるが、「少なくとも間違っているとは判断できない」ものである。これについては割愛する。
 次に不利と思われる事項についてのべる。私の場合は三つあげられている。
① 国民年金を納付したことを示す関連資料(領収書、家計簿、確定申告書など)がない。これをまずあげている。20年やそれ以前のこのような資料を保管している人がいると想定すること自体がおかしいと思う。(誰かの情報整理術では、使わない資料から捨てるべしという原則があった。) 資料整理の下手な人や特異な人だけがそんな古い資料を保管しているのである。委員会の先生方はみんなそんな古い資料も保管しているのであろう。そうすると、先生方はみんな資料整理が下手か、特異な人となり、委員の人選に問題がある。
 これは申立人の不利な情報ではない。このような資料がないことが正常なのである。だから、こんな事項を通知書の最初に記載すること自体が正常な感覚とはいえない。
② 上記とも関連するが、保険料の納付時期、納付回数、納付額等の記憶が曖昧である。これが次にあげられている。私の場合は、過去にさかのぼって何回かに分けて納付しているが、これらを明確に覚えていない。なお、納付額なんかは別途の資料を調べれば分かるが、それは公正とはいえないのでそうしなかった。かなり古い時期の上、納付した金額も大きくはなかったのだから、記憶に残っていない。もっとも、委員会の先生方に比べると私の記憶力が劣っているのかもしれないが。
 これも申立人の不利な情報とはいえないであろう。
③ 国民年金手帳の記号番号が払いだされた時点からみると、私の申し出の納付期間がおかしいということ。この点のみが私の不利な点である。
 担当者に聞くと、「記号番号はだいたい国民年金に加入し、年金を納付した順につけられている」という。私の場合、記号番号の払い出し時は昭和52年11月であり、私の記録上の納付は51年4月からである。(私の申し立ての年金記録の欠落は51年3月以前である。) 
 しかし、この判断はあまりにも安易に行われている。つまり、記号番号から推察される年金加入時期が正しいものと判断しているのである。
 当該時期の社保庁職員はコンピュータ入力などの事務処理上に多くの誤りを起こしていたということを委員会は忘れている。上記のように、記号番号の時期と記録上の納付開始時期の間には1年半以上の開きがあるのである。それにもかかわらずに、記号番号が年金加入・納付順に付けられ、そこから分かる時期が正しいとみなすことが出来るのであろうか。もっと正確に言うと、記号番号の時期が有用な情報といえるのであろうか。担当者に問い合わせると、上記の記号番号の時期は何人かの人たちの値から推察した値であるという。それに、私とは質的に異なる人たちからの推察であるという。統計的にいうと次の誤りがある。ひとつはサンプル数が極めて少ないということ。もうひとつは質的に異なるサンプルを用いていること。委員会の先生方はこんな単純な誤りを平気で見過ごしているのである。これは下記のこととも関連するが、委員会は統計に無知な先生方だけによって構成されているのではないだろうか。
 この点はデータが十分にあるのであるから、統計的検定を行うべきことである。例えば、私の年金手帳の記号番号の前後を合わせて1,000人程度の人たちを選び出し、その人たちの納付開始時期の分布を計算するのである。その結果から、判断するための情報を得るのである。たとえば、結果が昭和45年以降から昭和55年までの各月ごとに薄く均一に分布していれば、記号番号の払い出し時期は年金納付開始時期となんらの関係もないと結論付けられるであろう。このような結果が得られる可能性もある。つまり年金手帳の記号番号はなんらの有用な情報ではないと言う結論が得られるかもしれないのである。
 もう一度言う。年金番号と年金納付開始時期とを関連付けるデータは十分あるのである。それらを用いて統計的検定を行い、年金番号は有用な情報かどうか判断するのである。もし有用な情報なら、それを用いて年金番号から得られる年金納付開始時期の95%信頼区間を得るのである。この信頼区間が統計的にみた年金納付開始時期となる。

 年金記録の訂正申し立てを拒否するということは極めて重要な判断をするということである。出来るだけ客観的に判断するという姿勢も必要となる。そうであるならば、統計的検定という手法も多用すべきである。(新聞報道などを読んでいて感じることは、年金記録訂正などの作業では、もっとコンピュータと統計的手法を多用すべきであるということである。)

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