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2012年10月24日 (水)

貿易赤字と日本再生戦略

 今年度上半期の貿易赤字(速報ベース)が過去最大に達すると財務省から22日発表された。半期ベースでみると、3期連続の赤字である。資源に恵まれていない我が国では自給自足は不可能である。エネルギー原料や食料など多くを輸入に頼らなければ、現在のような国民生活は維持できない。そのためには輸出で外貨を稼がなければならない。この点を考えると、前記の貿易赤字に危惧を抱く人は多いと思う。
 そこで、今年7月31日に閣議決定した「日本再生戦略」をかなり詳細に読んでみた。一言でいえば、盛りだくさんであり、どこに焦点があるのかよく分からない。なんでもありで、後の言い訳に便利なようにできている。でも一番の欠陥は「外貨を稼ぐ」という視点が弱すぎること。これは前に読んだ時も感じたことであるが、前記の貿易赤字を目にした現在では、この欠陥が一層際立ってきた。
 医療や介護の今後の国内需要は拡大していく。そのために様々な革新が必要となり、それを再生戦略の一環として政府が後押しすることはよい。しかし、この医療や介護によって外貨をいかに獲得していくかという視点も不可欠である。農林水産業についてもそうである。極論すれば、どうやって外貨を獲得するかいう視点、あるいは外貨が獲得できそうな分野をどうやって政府としてサポートしていくかという視点、これらの点が不足している。
 医療や介護ならば、そのための医薬品や機械・設備、ロボットなどは、それが先進的で、国外からの需要も期待できるのであれば輸出で外貨を獲得できる。だから政府として、この分野をサポートする。医療や介護はそれだけではない。それらを提供する施設や環境の整備によって、外国からそれを利用したいと思う人たちを国内に呼び込むことも重要である。長期滞在が必要な外国人には湯治みたいな施設の充実も必要となる。例えば、胃がんの治療で世界No.1の病院を作るのである。そして、胃がん患者の治癒後のケアもかねて、どこかで湯治のように滞在してもらうのである。
 もう1つ再生戦略で、異を唱えたいところがある。エネルギー政策としての「原発からグリーン(風力、太陽光などの再生可能エネルギーと省エネ)へ」である。ここでいうグリーンでは国の必要エネルギーの根幹を支えることはできない。原発は根幹になりえたが、グリーンはなりえない。グリーンはあくまでも補助的なエネルギーでしかないはずである。長期的に見たら、脱原発は多くの人の思い・考えであろう。私は、脱原発は我が国一国だけの問題ではないと思う。近隣諸国の原発で事故が起きれば、それは我が国にも波及するからである。それと、原発が世界に広がれば、それだけ事故発生の機会やテロリストの手に落ちる機会が増加するのである。私たち国民は、わが国だけでなく、広く世界に向かって脱原発を呼びかけていく必要があると思う。ただし、それだけでは不足である。原発に代わる基幹となるエネルギーをどこに求めるのか。
 脱原発推進ならば、わが国が率先して核融合の実用化に取り組むことが必要だと思う。シェールガスもこれから拡大していく新興国の膨大な需要に長期間対応できるとは考えられない。無尽蔵ともいえるエネルギーで、今後の人間生活の基幹エネルギーとなりえるのは核融合しか考えられない。その核融合技術は、およそ半世紀の間、ほとんど進歩していない。何か1つのブレークスルーがあれば一気に問題解決となるのではないかと期待している。
 何年か前に、先進国が協力して核融合研究を進めることに合意した。その一環として、国際研究機関・施設を世界に2つ作ることになっている。その1つが日本に作られる。確か六ケ所村で建設がすすめられている。この前の国会で、震災復興の予算が核融合の研究に流用されていると問題にされていた。別途予算の流用というチンケな発想でよいのだろうか。この施設とともに、我が国は総力を挙げて核融合の実用化に取り組むと高らかに宣言すべきだと思う。これは現在の縮み志向の国民を鼓舞することにもなる。世界における脱原発の推進へのわが国の呼びかけは、この核融合の推進とともに発せられれば、それだけの重みをもって多くの国に受け入れられるであろう。この核融合を再生戦略の一環に含めるべきだったと思うが。

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