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2014年11月22日 (土)

再び問う、GDPは正確か

 今年の7月・9月のGDP(国内総生産)が2期連続のマイナスとなった。これは速報であるが、確報も含めて現在の国内需要は諸統計から推計できないはずである。例えばパソコンや液晶テレビの国内需要は推計できない。民間のエコノミストはこの点に気づいているのだろうか(以下の点も含めて、当ブログ「GDP統計は正確か」2013年1月10日も参照)。
 GDPはコモフロー法で推計していると思う。これはいくつかの製品別に国内生産、輸出、輸入から国内需要を推計する方法である。そして、SNA体系の頂点に産業連関表が鎮座している。この産業連関表の現時点で利用できる最新の2005年表に問題がより顕在化している。興味がある人は情報通信機器や家電製品の国内生産、輸出、輸入の数値をそれぞれの統計から取り出し、連関表の数値と比べてみてください。連関表の第3巻に品目別のコードが記載してあります。例えばパソコンの国内生産には「工業統計表、品目編」コードが記載されていますが、現実の数値は「機械統計」の値です。輸出と輸入も通関統計を使っているのですが、違う値が得られます。現在のGDP統計の基盤は、この産業連関表です。
 後述の理由は海外生産やOEMに経済産業省が対応しようという「真摯な姿勢」にあります(同省をほめすぎ?)。簡単な例を挙げます。家電製品メーカーは、汎用品は国外生産、高級品は国内生産などと、国内生産と海外生産を使い分けている場合があります。この会社が海外で生産した洗濯機を輸入して国内の工場に搬入し、それを国内のどこかに販売した場合は次のようになる。輸入に1回計上、工業統計の出荷で1回計上とダブルカウントされる。工業統計に代えて機械統計を用いると、このメーカーは機械統計の「受入」に計上し、同「国内生産」には計上しない。ただし、機械統計は小さな事業所は調査対象外。(なお、機械統計なども含む生産動態統計の調査票がこなれていない上、調査項目は回答者に応えづらい。) 経済産業省は統計の不備を補うために、メーカーへのヒアリングも多用しているようである。海外生産や国内外OEMがある幾つかの寡占品目は同省の簡易産業連関表・延長表・付帯表の記載数値が比較的正確であろう。ただし、この値は時期的にかなり遅れて公表される。
 経済産業省は上記の簡易延長表で「まあ、よくやっている」と評価できるが、食料品の農水省はどうであろうか。(農水省の私の評価は×。産業連関表の豚皮の数値がとんでもなかった。この輸入はゼロなのに、国内生産の何倍にも当たる金額が輸出されていた。) 例えば中国で生産された冷凍食品を味の素が輸入した場合はどうするのだろうか。冷凍食品の数値を工業統計から把握している場合は、上記の問題がある。ただし、イオンやセブンなどの流通業者が直接輸入している場合は、これらは工業統計の対象にならない。また、大手の流通業者が国内子会社などで食料品を生産している場合はいくつかの問題が生ずる。農水省は、これらの諸点を踏まえて、国内需要をより正確に推計しようとしているのだろうか。
 海外生産や国内外OEMが多くなっていることからGDP統計のゆがみが生じており、これに対応するためには幾つかの統計の新設や改定が必要である。この統計のゆがみは、円安で輸入が少なくなる局面では、ダプルカウントされる金額が少なくなる、つまり国内需要は少なくなります。これが、前記の2期連続のマイナスの主犯かも?

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