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2017年3月15日 (水)

馬鹿な。千代田区で都民・区民ファーストを叫ぶ

 小池百合子東京都知事のお得意のセリフ「都民ファースト」は極めておかしい。もちろん「都民ファーストの会」という政党名も同様。
 先の千代田区長選挙で、小池知事傘下の某氏が当選した。この選挙の時には、小池知事は「都民・区民ファースト」とは叫ばなかったのでは。さすがに、千代田区ではお得意のセリフの馬鹿さ加減に気づいていたのでは。千代田区で、このセリフがいかに不適切であるかは昼間人口を考えれば分かる。2015年時点の千代田区では区民、つまり夜間人口5万8千に対して昼間人口81万2千人である。だから千代田区の行政は都外から通勤・通学している人、つまり昼間人口への配慮が極めて重要になる。
 しかし、今夏の都議選には知事は傘下の候補の応援演説で「都民・区民ファースト」と叫ぶことになろう。昼間人口の多い千代田区、中央区、港区などでは、都外からの就学・就業者はこの小池知事のお得意のセリフを複雑な思いで受け取るであろう。さらに「都民ファースト」という言葉は企業・団体などの法人や組織を無視している響きを持つ。これらの法人などからの税などが東京都の財政収入に占める割合は極めて高いから、これを重視するなら「納税者ファースト」というべきであろう。鈴木都知事は地場産業や小規模事業者へ細かい目配りをしたが、小池知事は投票権を持つ浮動票への選挙目当ての目配りしかしていないようである。K.ポパーの「開かれた社会」という概念なんか知らないのだろう。そうであれば、小池知事は開かれた社会の敵である。
 私は、日本の首都である東京都の知事が「都民ファースト」を叫ぶのはおかしいと思う。例えば東京都の資料(平成24年度東京都税制調査会中間報告)には次のようなことが書かれている。
 ①首都である東京には、全国の大企業の4割近くが所在し、全国の従業者の約30%が働くなど経済機能も集中しており、・・・。
 ②首都であり、約250万人もの昼間流入人口を抱える東京は、治安対策、・・・インフラ整備、・・・、膨大な財政需要を抱えている。
 ③都市間競争が激化する中、東京は世界都市として経済をはじめ様々な分野で日本を牽引するという役割を担っている。
 日本の首都である東京の知事として小池氏は上記の視点が欠けている、あるいは軽視しているとしか思えない。特に③は重要である。築地・豊洲問題も世界の生鮮魚介の中央市場であり続ける、あるいはそれになるという観点が欠如している。築地・豊洲問題は政争の道具、あるいは選挙の目玉にしてはならない。
 私は小池知事に次の言葉を贈る。
 「燕雀(えんじゃく)いずくんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」。これは小人には大人物の志が分からないという意味で、どちらかというと小人の志の低さを批判している。
 「遠若いずくんぞ紅黒の思を知らんや」。遠若(えんじゃく)は遠い昔に若かった人、つまり今は年老いている人を指す。紅黒(こうこく)は紅顔・黒髪、つまり青少年を指す。これらから、人は年老いてしまうと青少年期の燃えるような思い・志を忘れてしまうということ。
 小池知事は鴻鵠の志を持っているのだろうか。東京都知事が燕雀では都民や国民のためには役に立たないはずである。小池知事は遠若であるが、「紅黒の思」を忘れないでほしい。

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