2017年3月15日 (水)

馬鹿な。千代田区で都民・区民ファーストを叫ぶ

 小池百合子東京都知事のお得意のセリフ「都民ファースト」は極めておかしい。もちろん「都民ファーストの会」という政党名も同様。
 先の千代田区長選挙で、小池知事傘下の某氏が当選した。この選挙の時には、小池知事は「都民・区民ファースト」とは叫ばなかったのでは。さすがに、千代田区ではお得意のセリフの馬鹿さ加減に気づいていたのでは。千代田区で、このセリフがいかに不適切であるかは昼間人口を考えれば分かる。2015年時点の千代田区では区民、つまり夜間人口5万8千に対して昼間人口81万2千人である。だから千代田区の行政は都外から通勤・通学している人、つまり昼間人口への配慮が極めて重要になる。
 しかし、今夏の都議選には知事は傘下の候補の応援演説で「都民・区民ファースト」と叫ぶことになろう。昼間人口の多い千代田区、中央区、港区などでは、都外からの就学・就業者はこの小池知事のお得意のセリフを複雑な思いで受け取るであろう。さらに「都民ファースト」という言葉は企業・団体などの法人や組織を無視している響きを持つ。これらの法人などからの税などが東京都の財政収入に占める割合は極めて高いから、これを重視するなら「納税者ファースト」というべきであろう。鈴木都知事は地場産業や小規模事業者へ細かい目配りをしたが、小池知事は投票権を持つ浮動票への選挙目当ての目配りしかしていないようである。K.ポパーの「開かれた社会」という概念なんか知らないのだろう。そうであれば、小池知事は開かれた社会の敵である。
 私は、日本の首都である東京都の知事が「都民ファースト」を叫ぶのはおかしいと思う。例えば東京都の資料(平成24年度東京都税制調査会中間報告)には次のようなことが書かれている。
 ①首都である東京には、全国の大企業の4割近くが所在し、全国の従業者の約30%が働くなど経済機能も集中しており、・・・。
 ②首都であり、約250万人もの昼間流入人口を抱える東京は、治安対策、・・・インフラ整備、・・・、膨大な財政需要を抱えている。
 ③都市間競争が激化する中、東京は世界都市として経済をはじめ様々な分野で日本を牽引するという役割を担っている。
 日本の首都である東京の知事として小池氏は上記の視点が欠けている、あるいは軽視しているとしか思えない。特に③は重要である。築地・豊洲問題も世界の生鮮魚介の中央市場であり続ける、あるいはそれになるという観点が欠如している。築地・豊洲問題は政争の道具、あるいは選挙の目玉にしてはならない。
 私は小池知事に次の言葉を贈る。
 「燕雀(えんじゃく)いずくんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」。これは小人には大人物の志が分からないという意味で、どちらかというと小人の志の低さを批判している。
 「遠若いずくんぞ紅黒の思を知らんや」。遠若(えんじゃく)は遠い昔に若かった人、つまり今は年老いている人を指す。紅黒(こうこく)は紅顔・黒髪、つまり青少年を指す。これらから、人は年老いてしまうと青少年期の燃えるような思い・志を忘れてしまうということ。
 小池知事は鴻鵠の志を持っているのだろうか。東京都知事が燕雀では都民や国民のためには役に立たないはずである。小池知事は遠若であるが、「紅黒の思」を忘れないでほしい。

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2016年7月10日 (日)

樹冠(じゅかん)経済化する日本

 かなり以前のロイターのオンライン記事(ひょっとしたら別のそれ)上で「林冠経済」という言葉に遭遇した。その記事を読みだして直ぐに「樹冠経済」の方がより適切だと思った。
 この林冠経済は英語のcanopy economyの訳語として使われていた。記事の中では、canopy economyは「アメリカで上位1%がその年に生み出される富の30%から40%程度を占めている状況」を指す言葉として使っていた(ただし富の占有率は?)。この状況を勘案して、訳者は林冠経済と訳したものと思われる。canopyは天蓋などの意味があり、記事の内容を考えずに訳すと天蓋経済となるのでは。それと対比してみると、ロイターの訳者は90点以上を与えられるはず。おしいな。画竜点睛です。樹冠経済なら100点以上です。
 樹冠や林冠という言葉は林業にあるみたいですが、森林生態学みたいな学問でも樹冠という言葉があります。それはアジア熱帯モンスーン地帯のジャングルで見られる状況などをさす。ここでは、日光と雨に恵まれ、樹木や草花などが良く育つ。そして、長い年月が経過すると、巨木のみが密生した森のような状況になる。巨木の陰に隠れるような丈の小さい木や草花には日光の恵みが到達しなくなり生育不能となる。もちろん、巨木の寄生木などは生育できる。この森の生態系は、巨木や寄生木の上層部のみがにぎやかとなり、中層部や下層部は貧弱となります。「天頂部のみが華やかで宝冠のように見える」、この生態系を指す言葉として樹冠が使われていると私は想像しました。このような生態系と樹冠を結びつけたテレビ番組も見ました。
 私は、林という言葉で「そんなに大きくない木がややまばらに生育している状態」をイメージします。そして直ぐ北原白秋の『落葉松』が頭に浮かびます。
    からまつの林を過ぎて、からまつをしみじみと見き。
    からまつはさびしかりけり。たびゆくはさびしかりけり。・・・
これらから、林はよろしくないと思うのでずが。
 それはそうと樹冠経済化はアメリカだけの問題ではないはずです。我が国も含む先進国や中進国の中国などでも見られることです。そもそも貿易の完全自由化と福祉国家は両立しないはずです。今回の英国のEU離脱はその例です。我が国は貿易立国です。現状では、我が国の福祉政策、端的に言えば年金保険・医療保険・介護保険などは比較的早期に破たんするはずです。国境政策と福祉政策は切り分けて論じてはいけないはずです。EUも樹冠経済へ進化するか崩壊するか、どちらかになるはずです。
 私の現実的解決策は、貿易50%程度自由化と福祉(若干切り詰めた福祉)国家化だと思います。貿易非自由化する産業・職種はハンディキャッバーや高齢者などの聖域とし、これらの人たちの働く場とする。たまに日中、パチンコホールをのぞくことあります。その都度、悲しくなります。

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2016年6月 5日 (日)

応答なし。政府への意見・要望

 電子政府の総合窓口では「各府省への政策に関する意見・要望」を受け付けているが、これはハッタリか見せかけの看板(ただ存在しているだけ)にしか過ぎない。1か月前にもなるが、私は貴重な提言?を送信した。そうすると、素早く自動返信で「ご意見は、ご選択した府省等に送信しました。これからも・・・ご利用ください」と返信されてきた。問題はこれから先である。
 1か月以上も経過しても「ご選択した府省」から何等の応答もない。少なくとも、受信した府省から「大変貴重なご意見ありがとうございました。・・・」などのような応答がなければならない。私の知る限り、このような窓口を持つ一般の大企業では適切な応答をしている。
 ただ「そのような窓口」を設置しておりますというにすぎない。これは「見せかけの看板」以外の何物でもない。羊頭狗肉(こちらなら、まだ取り柄がある)ではなくて、羊頭無肉である。適切な応答がないのなら、そんな窓口は必要ない。それでは提言してみようという私のような国民をなめているではないか。

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2016年5月16日 (月)

労働生産性の集計式

 前2回の「総労働生産性の向上策は簡単」(以下、前回と記す)の続きです。労働生産性の集計式(分解式)は、多くあるはずですが、専門誌などに掲載されているものはほんの少しです。前回の文献ではかなり多くの式が掲載されている。それらは大別すると次の3つになる。以下、産業別労働生産性の集計式を想定する。
① 産業別労働生産性の比(今期の値÷前記の値)のウエイト付加法和。
② 産業別労働生産性の比とその他の値のウエイト付積和。この式では、生産性の比の他に何かを含む値のウエイト付となる場合がほとんど。
③ 総労働生産性の対前期伸び率を分解した式。
 前回も述べたように、労働生産性を操作する場合はこの集計式に事後情報が含まれていないことが大切となる。しかし、ほとんどのそれらはこの事後情報が含まれている。つまり、操作をする前に、操作後の情報を用いることになる。ただ1つの例外が、前回紹介した論文に記されている。ただし、それは近似式である。近似式でなければ、それは操作に用いられないはずである。だから、近似の程度が論文のそれよりも優れているものが存在しているかもしれない。
 なお、OECDの集計式マニュアルは、近頃の文献では用いられていない場合が多いようである。そして、他の式を提示する論文執筆者はその理由を説明しない。この例外には、大御所のJorgenson先生もいる。先生の集計式はOECDのそれのファミリーに含まれるとみなされる。
 産業別労働生産性の集計式は総労働生産性の分解式でもある。分解の方が容易に思えるが、操作という視点から言えば、集計に力点を置く方がよかろう。ただし、席亭にはどうしたらよいのかはわからない。
 近いうちに、誰かが満足のいく生産性の集計式を見つけるかもしれない。それを何かで見つけることができれば、席亭は坊さんのマネで
    にようぜい・がーもん(この如く我聞けり)。チーン。

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2016年5月13日 (金)

総労働生産性の向上策は簡単、その2

 前回の続きです。前回と同様に、論文とは前記のものであり、労働生産性を単に生産性と呼びます。
◎ 生産性の集計式(つまり産業別の生産性から国の生産性を導くための式)は多数あります。代表的なものはOECDのマニュアルで示され、このように集計すべきであると述べられています。これらの集計式から得られる個々の産業毎の貢献度は、集計式毎に異なります。だから、貢献度とは何かという疑問が生まれます。論文では、この点にも言及しています。
◎ 著者のStrategic decomposition(以下、Stdeco)から得られる結果とより一般的な集計式から得られる結果を比較したテストも面白かった。総生産性(国全体の生産性)の増加を最大化させるためにどれか一つの産業を選びださなければならない問題の解答を前者と後者で比較するものである。Stdecoを用いると、簡単に回答が得られる。
◎ おそらく論文の最大の収穫はStdecoから得られる下記の総労働生産性向上策であろう。前回のアメとムチを使うと次のような簡単な回答が得られる。これを戦略と呼ぶ。
  ① ウエイト付アメ(ウエイト付産出シェア)-ムチ(就業者シェア)が正ならば、その産業の就業者を増加させよ。
  ② ウエイト付アメ(ウエイト付産出シェア)-ムチ(就業者シェア)が負ならば、その産業の就業者を減少させよ。
戦略はこの2つである。ここで用いるウエイトやシェアは事前情報である。
◎ 数学頭の席亭が最も興味を持った数式は付録で示されている「総生産性が個々の生産性のウエイト付積和で与えられている式」である。べき乗の計算の公式に反するような形になっているのが面白かった。

付記 最近になって、専門誌の検索が簡単だと分かりました。この論文も「IJCEAS」と入力して検索するとこのjournalが簡単に見つかります。そこをクリックして、そこで当該論文をクリックすればよい。無料で閲覧、ダウンロード(pdf)が可能です。
 蛇足ながら、専門誌は論文の閲覧すら有料のものが多い。国会図書館の電子ジャーナルでさえ、ここ数年の論文では閲覧できない専門誌が多い上、そもそもその電子ジャーナルに含まれていない専門誌もかなりある。比較的小さい某大学の電子ジャーナルは対象専門誌も多くかつ無料でダウンロード(複写)できます。国会図書館はこの点を解決してほしい(ついでに言えば、食堂の単価も高すぎる)。

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2016年5月12日 (木)

総労働生産性の向上策は簡単、その1

 最近ある論文(著者名略)Strategic Decomposition…, International Journal of Contemporary Economics and Administrative Sciences, Vol. 5, Issue 3-4, 2015を読んだ。これは無料で閲覧できる。一国の総労働生産性(以下、単に生産性)が比較的簡単に向上させることできると述べており、その方策も具体的な数値例を用いて述べている。私なりの解釈で面白いと感じた点を幾つか述べてみたい。なお、「生産性=産出額÷就業者数」とする。
◎ 経済白書や経済財政白書などで何度も目にした「(ア)低生産性の産業から高生産性の産業への就業者の移行が国の生産性を高める」、あるいは「(イ)サービス業(低生産性の代表)から他の産業への労働の移行が国の生産性を向上させる」などの記述が出鱈目であることもわかった。もちろん、これらの記述を読んだ当時はそうだろうと思っていた。前述の見方は、高名なエコノミストにもみられる。
◎ 学習理論との真逆の関係が面白かった。かなり以前に勉強した学習理論(マウスかラットを使用)で「学習効果はアメ÷ムチの比で決まる」と説明されていた。私は、それを鵜呑みにして、そのような論文を書いた。ところが上記論文の国の生産性向上策は「(ウ)アメ-ムチの差を重視する」ことになる。ただし、四則演算ができるように両者の単位を揃えなければならない。
 この場合のアメは個々の産業の産出額の割合(つまり個々の産出額の全国計に占めるシェア、%で示す、以下もこれに準ずる)で、ムチは個々の産業の就業者の割合である。簡単な計算によれば、アメ÷ムチの比は「個々の産業の生産性÷全国の生産性」となる。この比を重視すれば、上記の(ア)や(イ)が得られる。
 上記の(ウ)をなるほどと私が納得した理由は次の通り。簡単な例を挙げる。勝ち・負けが半々の無料のくじを想定する。
  A: 当たりなら10万円もらえ、ハズレなら100円支払う(アメ÷ムチは1000、アメ-ムチは約10万円)。
  B: 当たりなら1万円もらえ、ハズレなら1円支払う(アメ÷ムチは10000、アメ-ムチは約1万円)。
越後屋や私ならAを選ぶ。Bを選ぶ人はヘンな人。マウスやラットはBを選ぶのでは。くまモンはどうかな。

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2014年11月22日 (土)

再び問う、GDPは正確か

 今年の7月・9月のGDP(国内総生産)が2期連続のマイナスとなった。これは速報であるが、確報も含めて現在の国内需要は諸統計から推計できないはずである。例えばパソコンや液晶テレビの国内需要は推計できない。民間のエコノミストはこの点に気づいているのだろうか(以下の点も含めて、当ブログ「GDP統計は正確か」2013年1月10日も参照)。
 GDPはコモフロー法で推計していると思う。これはいくつかの製品別に国内生産、輸出、輸入から国内需要を推計する方法である。そして、SNA体系の頂点に産業連関表が鎮座している。この産業連関表の現時点で利用できる最新の2005年表に問題がより顕在化している。興味がある人は情報通信機器や家電製品の国内生産、輸出、輸入の数値をそれぞれの統計から取り出し、連関表の数値と比べてみてください。連関表の第3巻に品目別のコードが記載してあります。例えばパソコンの国内生産には「工業統計表、品目編」コードが記載されていますが、現実の数値は「機械統計」の値です。輸出と輸入も通関統計を使っているのですが、違う値が得られます。現在のGDP統計の基盤は、この産業連関表です。
 後述の理由は海外生産やOEMに経済産業省が対応しようという「真摯な姿勢」にあります(同省をほめすぎ?)。簡単な例を挙げます。家電製品メーカーは、汎用品は国外生産、高級品は国内生産などと、国内生産と海外生産を使い分けている場合があります。この会社が海外で生産した洗濯機を輸入して国内の工場に搬入し、それを国内のどこかに販売した場合は次のようになる。輸入に1回計上、工業統計の出荷で1回計上とダブルカウントされる。工業統計に代えて機械統計を用いると、このメーカーは機械統計の「受入」に計上し、同「国内生産」には計上しない。ただし、機械統計は小さな事業所は調査対象外。(なお、機械統計なども含む生産動態統計の調査票がこなれていない上、調査項目は回答者に応えづらい。) 経済産業省は統計の不備を補うために、メーカーへのヒアリングも多用しているようである。海外生産や国内外OEMがある幾つかの寡占品目は同省の簡易産業連関表・延長表・付帯表の記載数値が比較的正確であろう。ただし、この値は時期的にかなり遅れて公表される。
 経済産業省は上記の簡易延長表で「まあ、よくやっている」と評価できるが、食料品の農水省はどうであろうか。(農水省の私の評価は×。産業連関表の豚皮の数値がとんでもなかった。この輸入はゼロなのに、国内生産の何倍にも当たる金額が輸出されていた。) 例えば中国で生産された冷凍食品を味の素が輸入した場合はどうするのだろうか。冷凍食品の数値を工業統計から把握している場合は、上記の問題がある。ただし、イオンやセブンなどの流通業者が直接輸入している場合は、これらは工業統計の対象にならない。また、大手の流通業者が国内子会社などで食料品を生産している場合はいくつかの問題が生ずる。農水省は、これらの諸点を踏まえて、国内需要をより正確に推計しようとしているのだろうか。
 海外生産や国内外OEMが多くなっていることからGDP統計のゆがみが生じており、これに対応するためには幾つかの統計の新設や改定が必要である。この統計のゆがみは、円安で輸入が少なくなる局面では、ダプルカウントされる金額が少なくなる、つまり国内需要は少なくなります。これが、前記の2期連続のマイナスの主犯かも?

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2014年1月20日 (月)

不払い年金の解明放棄

 社会保障審議会の特別委員会は政府の年金記録問題の対応を検証した報告書をまとめ、未解明記録の「完全な回復は不可能」とした。2112万件の完全な回復は不可能と結論付けている。(以上、1月18日朝日新聞、朝刊。)これにより、政府は不払い年金の解明を放棄する口実を得たことになる。同紙によると、野村修也・中央大法科大学院教授は政府の対応を批判して「記録の改ざんや紛失の場合は、効果がない。本当にやるべきことは被害者の救済だ。」と述べている。
 野村教授の発言に同感する人は多いと思う。政府の対応は、当時の社保庁職員の年金納付額の紙台帳への記載やコンピュータへの入力が完全無欠という前提に立っているのである。だから、紙台帳とコンピュータ記録の照合だけを解明の主眼にしていたのである。当時の職員の不作為や不実が多々あったことは明確であるのにかかわらずに、このような政府の対応はおかしいと思う。
 その上、年金記録の確認申し立てに対する第三者委員会の対応方針がおかしい。20年前、あるいは30年前の年金納付記録を申立人が保持していないことを主たる理由として「年金は納付していない」と判定しているのである。私の場合の詳細は過去の当ブログを参照してください。(2010年1月27日付けブログ。そこに寄せられた多くのコメントも、最近のものも含めて、参照してください。コメント欄からの検索が容易です。)。
 政府や厚労省の方針は「明確な納付にかかわる証拠がない限り、年金記録は回復させない」ということだと思う。統計的手法や他のデータ、例えば国民健康保険の加入記録などを利用すれば、年金が回復される人たちは多くなると思う。(私は会社を辞めて自営業になった時に、世田谷区役所で国保の加入手続きをした。私の記憶によれば、その際、区の担当者は国保と国民年金は同時加入に言っていた。だから、国保の記録は年金の記録に活用できる。)
 年金問題で政府や厚労省がやるべきことは「不払い年金の回復であって、紙とコンピュータの照合ではない」はずである。回復であって照合ではない。照合には莫大な税金を投じて、回復にはいかほどの税金を投じたのであろうか。政府などのやるべきことは、野村教授は「被害者の救済」と言っているが、私は「不払い年金の回復」といいたい。

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2013年10月20日 (日)

日韓関係とヘイトスピーチ

 在日の人たちに対するヘイトスピーチを繰り返している在特会の会員を中心とする街宣活動を禁止する判決が出された。これについては評価している。ただし、幾つかの点で考えなければならないこともある。ここでは、在日の人たちと韓国政府・国民に対する「日本人としての意見」を記しておきたい。
 1つは在日の人たちに同化を求めるという点である。金明秀氏『同化を求めるのも差別』朝日新聞東京夕刊、2013年10月15日では、日本国内における日本人による「同化主義的レイシズムを「普通」のこととして温存する構造を打破しない限り」ヘイトスピーチの被害はなくならないといっている。程度の問題はあるが、在日の人たちがこの国で将来も生きていくためには日本人への同化も大切なことだと思う。もちろん、その上で、民族の誇りなども身につけていくことになる。
 民主主義の根幹は人々の間の話し合いにあると思う。その際、共通言語が必要となる。例えば、在日の人たちが日本語を話せなかったり、その言語の背後にある価値観・倫理観・文化などを保持していなかったと想像してみればよい。だから在日の人たちは日本語とともに「日本的なもの」への知識・理解も必要となる。
 もう1つは、韓国政府・国民の日本・日本人への対応である。慰安婦問題、新日鉄住金などの強制労働問題、対馬の仏像問題などへの韓国政府、特に裁判所の対応はどうだろうか。私の判断、あるいは国際的、あえて言えば西欧的価値観からの判断は韓国政府などの対応は「おかしい」と言わざるを得ないだろう。韓国民の対応はあえて記載しない。
 韓国政府、特に朴大統領は日本の韓国統治や慰安婦問題を「歴史問題、歴史認識」などと表現しているが、これもおかしいと思う。はっきりと「韓国統治」などと表現すべきである。これらに対しては、日本政府・国民は謝罪すべきであるし、相手が求めるのであればいつまでも謝罪すべきである。
 近世以降の韓国・朝鮮の正しい歴史を韓国の人々は学んでいるのであろうか。今年の夏ごろ、朝鮮戦争停戦60周年ということで、北では「戦勝パレード」が華々しく行われた。南では、これがひそやかに行われた。どうして、このような大きな差が生まれているのだろうか。これに関連して、私はD.ハルバースタム著、山田・山田訳『ザ・コールデスト・ウインター、朝鮮戦争』文芸春秋2009年10月(原著は2007年9月出版)を再読した。韓国の人たちで、この本を読んだ人は何人いるのだろうか。この本を読むと、上記の差も理解できる。さらに、日露戦争前後から朝鮮戦争停戦までの朝鮮・韓国の簡単な歴史が分かる。この本の中では、韓国人にとって誇らしいようなことはほとんど記載されていない。ついでに言うと、司馬遼太郎『坂の上の雲』の中では、日露戦争前の朝鮮半島は「無主の地」(実効支配している民族がいない状態)であったと表現している。(おそらく、韓国の小・中学校では『朝鮮戦争』で記載されている歴史は教えていないと思う。このような歴史を教えることは、韓国の児童・生徒に対するマイナスの影響が大きすぎると思う。だから、竹島問題も含む歪曲した歴史を教えているはずである。)
 韓国政府などが「日本政府・日本人は歴史認識が不足している(これは歴史に対する反省がないと同義で用いている)」と非難するやり方は卑劣で卑怯なものといえる。日本統治などを含むより大きい概念・用語を用いるべきではないのである。
 適切な例でないかもしれないが、簡単な例えで説明しよう。ある男性が過去に飲酒運転で事故を起こしたとする。これを「あいつは飲酒事故への反省がない」と非難すべきところを「あいつは過去への反省がない」と非難する。後者は、彼の過去のすべてを非難していることになる。この例でわかると思いますが、あえて言います。「歴史認識が不足している」ということは、日本政府・日本人の過去の歴史のすべてを暗に非難していることなのです。
 かつてのノムヒョン政権時代に、金大中前大統領は自己の日本国内での拉致問題に対して「日本政府の対応はおかしい」と日本政府のみを非難していました。それに対して福田氏(息子の方で、官房長官か総理を務めていた)は「なんで今更、ご本人が大統領の時に持ち出す問題では」と反論していました。韓国大統領として絶大な権限を持っていた時に、彼の指揮監督下にあるKCIAの過去の問題なんか簡単に調査できたはずである。そこに不義・不正などが見つかったのなら、まずKCIAを非難し、そのあとに日本政府を非難すべであった。これに関連して言うと、韓国のマスコミや識者などから元大統領の言動がおかしいという声が出たのだろうか。
 元大統領は韓国民の知性の代表のように言われている。この人にしても、「自国民は非難しないで、他国民のみを非難する」という姿勢であった。
 日本と韓国は未来永劫にわたり隣人であり続けなければならないのである。相互で友好関係を深め、高めていく努力が必要である。その際に、「相手に求めるものは少しにし、相手に与えるものは大きくする」という姿勢が相互に大切だと思う。

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2013年5月26日 (日)

アホか、自動化電話世論調査

 東京都議会議員選挙や参議院選挙を控えて世論調査がにぎやかになってきた。今どきの世論調査は電話によるものが主流だが、それが自動化されている。この自動化は調査被対象者の感情や気持ちなどを考慮しない「とんでもない方法」である。だから得られる調査結果の信頼性は極めて低い。
 最近、私のところにも2つの自動化調査があった。1つは夕方8時ごろ発信されたもので留守電に入っていた。多分、この調査は受信電話が留守電やFAXに設定されていればそちらにそのままつながるからであろう。もう1つは土曜日にあった。こんな調査に協力する気は毛頭ないので、ガチヤンと怒りの気持ちを込めて電話を切った。
 この自動化電話調査は調査実施者の利点ばかり考えて実施されている。なんといっても、コストが安くなる。集計も、ダイヤルトーンの回答であれは即時に可能となろう。さらに、夕方や休日も何等の付加コストもかからずに可能である。しかし、こんな調査で有効な回答が得られるのだろうか。丁寧に設問内容を説明する、それも相手に応じた説明で。高齢化社会では、この「丁寧な説明」は必須である。さらに、回答率が極端に低くなるであろう。これらの点を考えれば、この調査結果の信頼性は極めて低いと言わざるを得ない。(ここでは調査被対象者が固定電話に限定されるなどの欠点は割愛する。)
 人による電話調査でも回答率が50%程度である。しかも、この回答率は底上げされている可能性が高い。つまり、調査会社は回答率の低い調査では信頼性が得られないと自覚しているから、底上げするのである。底上げは簡単である。例えば2000人調査で請け負った場合、実際の調査は2100人程度に実施する。有効な回答はすべて生かし、無効な回答数を加減するのである。例えば前記の2100人調査で有効な回答が1000票の場合は次のようになる。実際の回答率=1000/2100=47.6%、底上げ回答率=1000/2000=50%。
 回答結果さえも手を加えられている可能性がある。例えば継時的に調査される内閣支持率の数字を見てみればよい。新聞社やテレビ局の間でかなりの乖離があるのに、同じ新聞社やテレビ局の継時的な値は滑らかに変化している。すべての新聞社やテレビ局の調査対象者の母集団は同じはずである。そして有効サンプル数を考えると、継時的に滑らかに変化するような結果に疑問を持たなければならない。たとえば、スマホやタブレットPCの保有率の調査をしてみれば分かる。(新聞社などの間で乖離があるように、継時的な結果も凸凹するはずである。)
 調査を依頼する新聞社やテレビ局の皆様は上記のようなことをご存じだろうか。コストを切り詰めた「いい加減な調査」を用いるのが良いか、コストをかけて「信頼性の高い調査」を用いるのが良いか。新聞社やテレビ局の良識が問われている。

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